Shuttle製ベアボーンキット「XH170V」とIntel Core i7-6700無印による自作PCのベンチマークおよび消費電力を計測しました。
比較として、ASRock「B150M-ITX/D3」を使った自作PC(以下、比較PC)の計測結果も載せています。
結果として、「XH170V」はCPU本来の性能を発揮しながら比較PCで懸念だったCPU発熱やスリープ時の消費電力を下げることに成功し、自分にとって理想的な状態にすることができました。
XH170Vおよび比較PCの構成は次のようになります。
パーツ | Shuttle XH170V | 比較PC | |
CPU | Intel Core i7-6700 | Intel Core i7-6700 | |
CPUクーラー | Shuttle XH170V | 岡谷エレクトロニクス OFH-A7122EP | |
マザーボード | Shuttle XH170V H170 | ASRock B150M-ITX/D3 Mini-ITX UEFI Ver.1.50 | |
メモリー | Transcend PC3L-12800 DDR3L-1600 8GB×2 | A-DATA PC3L-12800 DDR3L-1600 8GB×2 | |
ストレージ | SANDISK Z400s 256GB M.2 SSD | Crucial M4 64GB SSD | |
PCケース | Shuttle XH170V | ASKTech ALTO NT-TX5200 | |
電源 | Shuttle XH170V 90W ACアダプター | Abee AC150-AP04AA 150W ACアダプター | |
本体サイズ | 200×240×72mm | 215×222×70.5mm | |
キーボード | USB接続 | PS/2接続 | |
マウス | USB接続 | USB接続 | |
LAN | 有線接続 | 有線接続 | |
OS | Windows 7 Ultimate 64bit | Windows 7 Ultimate 64bit |
どちらもCPUにCore i7-6700を使い、電源はACアダプターです。
各PCの詳細は、
をご覧ください。
左がShuttle「XH170V」、右が比較した自作PC。ケースサイズはほぼ同じ。
通常消費電力
アイドル時、スリープ時、休止状態、電源OFF時の待機電力の計測結果は次のようになりました。
状態/消費電力 | XH170V | 比較PC |
アイドル | 8.6W | 10.7W |
スリープ | 2.2W | 4.7W |
休止 | 0W | 3.5W |
電源オフ | 0W | 1W |
すべてにおいて「XH170V」が優れているという結果となりました。アイドル時でも10Wを余裕で切り8W台に収まりました。消費電力にはサンワサプライ ワットモニターTAP-TST8を使用しています。「XH170V」の休止・電源オフ時の0Wは、TAP-TST8で計測できないほど低くなっているということだと思います。ともあれ、とても満足できる測定結果です。
「XH170V」はCPUクーラーとケースファンを兼ねた構成であり、比較PCと比べて冷却ファンが1基少なくなります。これがアイドル時の消費電力を下げる要因の1つとなったのかも。
「XH170V」の中身。M.2 SSDを使うことでほとんど配線のないシンプルで風通りの良い状態。
スリープ・休止・電源OFF時の消費電力の違いはACアダプターの性能によると思います。総じて「XH170V」付属のACアダプターが優秀だと思いました。
ベンチマーク
CINEBENCH、Hyperパイ、MHFベンチマーク「大討伐」のベンチマーク結果。計測条件・環境は本記事下をご覧ください。
ベンチマーク結果 | CINEBENCH R15 | R11.5 | Hyper Pi | 大討伐 |
XH170V | 810 | 8.96 | 9.25 | 5759 |
B150M-ITX/D3(LDPL=AUTO) | 810 | 8.98 | 9.204 | 5742 |
B150M-ITX/D3 (LDPL=35W) | 680 | 7.57 | 9.313 | 5755 |
Core i7-6700T(参考) | 666 | 7.44 | 10.267 | 5009 |
ここでは「XH170V」は、比較PCのCPU電力制限(LDPL)を行っていない状態と比べて同程度のスコアとなりました。
上のLDPLとはLong Duration Power Limit(長期間電力制限)のこと。UEFIで設定しています。詳しくはこちらを。
比較PCで使用したCPUクーラー「岡谷エレクトロニクス OFH-A7122EP」ではCPUの発熱を抑えるのが難しく、LDPLで電力を下げる必要がありました。「B150M-ITX/D3」LDPL=35Wで「XH170V」と同じくらいのCPU発熱(最大70~74度)となりました。「B150M-ITX/D3」を組み込んだPCケースの高さ制限から上記CPUクーラーを選ばざるを得ませんでしたが、もっと高性能なものを付けかえれば温度を下げることができると思います。
ともあれ、「XH170V」であればCPU性能を発揮しつつCPU発熱も抑えることができ、自分としては理想的な状態となりました。
ベンチマーク計測時の消費電力とCPU温度
以下、OCCT、CINEBENCH、Hyper Pi、大討伐の計測時の最大消費電力とCPU温度です。
OCCT 1時間 | 消費電力 | 温度 |
XH170V | 97.5 | 70 |
B150M-ITX/D3(LDPL=AUTO) | 95.6 | 85度以上 |
B150M-ITX/D3 (LDPL=35W) | 58.7 | 74 |
XH170Vは、使用している90W ACアダプター以上の電力となっていることが気になりますが、一応1時間のテストを無事完了できました。
CINEBENCH R15 | 消費電力 | 温度 |
XH170V | 89.5 | 69 |
B150M-ITX/D3(LDPL=AUTO) | 73.9 | 77 |
B150M-ITX/D3 (LDPL=35W) | 51.7 | 64 |
XH170Vはベンチ結果とCPU温度のバランスが良いように思えます。
Hyper Pi 1M桁(1コア測定) | 消費電力 | 温度 | |
XH170V | 35.2 | 52 | |
B150M-ITX/D3(LDPL=AUTO) | 31.5 | 48 | |
B150M-ITX/D3 (LDPL=35W) | 36 | 53 |
同じくXH170Vのベンチ結果が良く、CPU温度や消費電力が低いです。
MHFベンチマーク「大討伐」 | 消費電力 | 温度 | |
XH170V | 42.2 | 50 | |
B150M-ITX/D3(LDPL=AUTO) | 37.3 | 55 | |
B150M-ITX/D3 (LDPL=35W) | 37.5 | 58 |
今回試したほぼ全てのベンチマークで、XH170Vの消費電力が大きく、CPU温度は低いという結果でした。
「B150M-ITX/D3」でLDPL=AUTO設定がバランスがいいように見えますが、OCCT実行時に僅か数分で85度以上に達しテストを完了できない状態になってしまいました。ちなみに、Prime95実行時でCPU温度は100度に張り付きます。CPU使用率100%では常用できない状態と判断せざるを得ず、LDPL設定でCPU電力を下げることでCPU発熱を抑えました。
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考察
Shuttle「XH170V」はCPU発熱を効果的に抑えることができ、Core i7-6700無印の本来の性能を発揮させることができると判断できました。
一方、比較PCはCPUの消費電力を下げる設定をすることでCore i7-6700T同等のパフォーマンスとなり、最大消費電力60W程度とかなり省電力なマシンに仕上がりました。
「XH170V」のCPUクーラー。思った以上にCPUの発熱を下げてくれました。
今回、最初に「B150M-ITX/D3」+Core i7-6700無印で自作PCを組み立てましたが、スリープ時の消費電力が思った以上に高いことが気になり、「XH170V」を追加で購入しました。
「XH170V」ではスリープ時の消費電力も下がり、ベンチマーク性能も満足できるものとなり、ようやく希望通りのマシンに仕上がったと思います。
「B150M-ITX/D3」を使った比較PCにはCore i3やPentiumなど、より省電力なCPUを載せ替えて使いたいと思います。
ベンチマーク計測条件および環境
- CINEBENCH R15/R11.5:CPU測定
- Hyperパイ:1M桁(1コア測定)
- MHFベンチマーク「大討伐」:解像度デフォルト(1280x720)
- OCCT:CPU, テストモード:スモールデータで1時間計測
- Prime95 V.28.5:Small FTTs
- 消費電力計測:サンワサプライ ワットモニターTAP-TST8