先日購入したCore i7-6700とB150M-ITX/D3を使って色々試していますが、今回は、UEFI(BIOS)設定でCore i7-6700のCPU消費電力を抑制し、発熱を抑えつつ、Core i7-6700Tと同程度以上のベンチマークスコアが出るように調整してみました。
テストPCの構成
- CPU:Intel Core i7-6700 Skylake
- CPUクーラー:岡谷エレクトロニクス OFH-A7122EP
- マザーボード:ASRock B150M-ITX/D3 Mini-ITX
- メモリー:A-DATA PC3L-12800 DDR3L-1600 8GB 2枚組 合計16GB ADDU1600W8G11-2
- ストレージ:Crucial M4 64GB SSD
- PCケース:ASKTech ALTO NT-TX5200
- 電源:Abee AC150-AP04AA 150W ACアダプター
- OS:Windows 7 Ultimate 64bit
B150M-ITX/D3のUEFIで「Long Duration Power Limit」という項目にて電力(W)の値を設定し、各種ベンチマークを計測しました。
マニュアルには次のような説明があります。
Long Duration Power Limit ( 長期間電力制限 )
[Congure Package Power Limit 1] ( パッケージの電力制限 1) をワットで指定します。制限を超過すると、CPU レシオが徐々に下げられます。制限を低く設定することで、CPU が保護され、電力の消費が抑えられます。一方で制限を高く設定することで、パフォーマンスが向上します。
ベンチマーク結果
今回、Long Duration Power Limit(LDPL/長期間電力制限)を35Wに設定したところ、次のようなベンチ結果となりました。
CPU | CINEBENCH R15 | CINEBENCH R11.5 | Hyper Pi | MHF大討伐 |
---|---|---|---|---|
Core i7-6700 | 821 | 9.18 | 9.173 | 5755 |
Core i7-6700 (LDPL=35W) | 680 | 7.57 | 9.313 | 5755 |
Core i7-6700T | 666 | 7.44 | 10.267 | 5009 |
Core i7-6700Tのベンチスコアは他サイト(記事下部に参考リンク)の計測結果を参照しています。
CINEBENCHとHyper PiはCPUのパフォーマンス、MHF大討伐はグラフィックスパフォーマンスの指針となるかと思います。
CPUの発熱と温度
Long Duration Power Limit(LDPL/長期間電力制限)にて、CPUの消費電力を制限すると、ベンチマーク計測中はその電力を上限にして、それ以上電力を消費しないようになります。おかげでCPUの発熱も抑えることができました。
今回、LDPL=35Wに設定し、OCCTを1時間動かしたところCPU温度は最大74度に収まりました。
ネットで調べてみるとCPU温度は概ね70~75度までという情報をみかけました。本当はもっと下げたいところですが、性能との兼ね合いで今回はここまでとしておきます。今後、もっと高性能なCPUクーラーやケースファンにするなども検討してみます。
今回の構成でLDPLを自動にしておくと、Prime95で一気に100度までCPU温度は急上昇します。とても常用できる状態ではありません。
そこで、LDPLの値を色々試したところ、値を小さくすることで発熱も抑えられることがわかりました。
OCCTを1時間実施した際のシステム全体の最大消費電力とCPUの最大温度は次の通り。
Core i7-6700 | 消費電力 | 温度 |
---|---|---|
Long Duration Power Limit=35W | 58.7W | 74℃ |
Long Duration Power Limit=30W | 52W | 71℃ |
Long Duration Power Limit=25W | 46.2W | 68℃ |
LDPLを25WにするとCPUの最大温度は68度まで下がりました。非力な冷却装置でもCPUの消費電力を制限させることでここまで温度を下げることができました。
何も設定しなければCPU温度は一気に100度ですから、CPUやマザーボードの寿命を短くしないためにもこうした設定は有効だと思います。
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消費電力
Long Duration Power Limit(LDPL/長期間電力制限)を35Wにした状態で、OCCTを1時間動かした際のパソコン全体の最大消費電力は58.7Wでした。
このPCはストレージは2.5インチSSDだけ接続しているシンプルな構成ですが、これなら最大負荷をかけても65WのACアダプターで間に合いそうなほど省電力となりました。
ちなみに、アイドル時の消費電力は約11W(10.7~11.2W程度)です。
Core i7-6700 (LDPL=35W)でのベンチマーク計測時のPC全体の最大消費電力は次の通り。
ベンチマーク | 消費電力 |
---|---|
CINEBENCH R15 | 51.7W |
CINEBENCH R11.5 | 51W |
Hyper Pi | 36W |
Prime95 | 51W |
OCCT | 58.7W |
大討伐 | 37.5W |
参考までに、ThinkPad X61Tという数年前のノートPCも65WのACアダプターを使っており最大消費電力は50W程度だったと記憶しています。Core i7-6700を使ったデスクトップパソコンでも一昔前のノートパソコンと同程度の消費電力に抑えつつ性能は維持できることがわかりました。
ベンチマーク計測条件
- CINEBENCH R15/R11.5:CPU測定
- Hyperパイ:1M桁(1コア測定)
- MHFベンチマーク「大討伐」(以下大討伐):解像度デフォルト(1280x720)
- OCCT:CPU, テストモード:スモールデータで1時間計測
- Prime95 V.28.5:Small FTTs
- 消費電力計測:サンワサプライ ワットモニターTAP-TST8
参考:cpu-monkey, ドスパラ - 製品レビュー, B150M-ITXD3 マニュアルPDF